料理人が一番研ぐ柳刃包丁の研ぎ方を解説します
實光がお勧めする柳刃包丁の研ぎ方を下記の手順で行ってください。
このとおりに研ぐことが出来れば切れ味の持続性が向上し、料理もしやすくなります。
砥石の準備
砥石は3種類準備をする事が大切です
砥石は荒砥石、中砥石、仕上げ砥石の3つを用意する。面直し用砥石も用意します。
砥石は使う前に水に10分くらいつけておきます。砥石から気泡が出ているのが見えると思います。これが出なくなるまで浸けておくと、砥石が水を十分に含んだ状態になるので、研いでいる途中で水を何度も掛ける手間が少なくてすみます。
砥石は滑ったりグラグラさせないためにタオルの上などにおいてしっかりと固定させます。
砥石台がある方は砥石台を使って砥石の手前側と奥側で高低差を作ってください。砥石台をお持ちでない方は、砥石は下に敷いているタオルの手前だけを何回か折って高低差をつけて、手前が高く奥が低くなるようにセットします。
砥石の表面の凹凸を取るために面直しをします。面直しは砥石の番手を変えても必ず行ってください。(平らな場合は行わなくても大丈夫です。)
※砥石を変えた際は必ず面直しの砥石も水で洗ってください。前に使っていた荒い粉が次の砥石につくと砥石に筋が入ってしまいます。
〔Point〕面直しは前後に動かすだけではなく円を描くように動かすときれいにできます。
お勧めの砥石
包丁の持ち方
2点ではなく、3点でしっかりと包丁を持ちます
右手の小指・薬指・中指で包丁の柄を、親指は包丁のあご部分を、人指し指は伸ばし峰の部分に添えて3点で固定するように持ちます。
※人差し指をグーのように握って包丁の背に当てない方もいますが、包丁がグラグラしやすいので、しっかり3点で持ってください。
しっかりと3本の指で握れば、人差し指、親指もしっかりと固定します。
上から見たときに砥石に対して包丁の角度が45度になるように構えます。
左手は人指し指と中指を包丁の裏側で鎬(しのぎ)の上らへんにくるように添えます。
〔Point〕左手を置く場所は常に鎬(しのぎ)を意識しながら添えます。
3種類の砥石を使って包丁を研ぐ
荒砥石で研ぎます
包丁の鎬から刃先の面を砥石にあてて、左手をしのぎの裏に置いて研いでいきます。
※刃先が砥石にピタッと当たっていない包丁は左手を刃先に少しずらし、刃先と砥石が当たるように調整する。
包丁を研ぐときの前後の動きは砥石全体を使うように動かします。
※真ん中は研ぎやすいので大きくスライドしないで研いでしまがちが、手前側から奥側へと全体的に繰り返してスライドして当ててください。その方が砥石の減りが均等になり経済的に使えます。
研ぐ時の力の入れ方は、押すときに力を加え、引くときに力を抜きます。右手は包丁を握るだけで力は抜いて下さい。
砥石に当てる角度はしのぎのラインを当ててください。その時に刃先がキッチリと当たっているか確認します。当たっていない場合は左手をしのぎのラインより少し刃先によせて、ピタッと砥石に当ててください。※右手で角度を調整しないで下さい。角度の調整は必ず左手で行ってください。
切っ先から順番に刃元まで研いでいきます。
切っ先10回、中間部分5回、刃元10回を1セットのように研ぎ、包丁の長さによって何箇所かに研ぐ部位を分けて研ぎます。
※左手の指は、必ず砥石の上(指の下に砥石がある状態)に置いて研いで下さい。真ん中を研ぐ時に、左指が砥石の上に無いという状態はけがをする恐れがあるのでやめてください。
切っ先から10回ほど研ぎます
中間は5回ほど研ぎます。中間部分は切っ先や刃元を研いでいるときに自然と当たっているため研ぐ回数を減らして調整します。
最後に刃元も10回ほど研ぎます。
部位ごとに分けて刃先を10回研いだら刃元も10回、同じ回数研ぐことで刃先だけ研ぎすぎるなどのムラを減らします。
切っ先を研ぐときはほんの少し右手の肘を上げて刃先を当てます。
切っ先が砥石に当たっているかどうかを画像で確認ください。分かりにくいですが普通に研いでいると刃先は浮いています。肘を少し上げることによってピタッと切っ先が砥石に当たります。
研ぎが出来たかどうかの目安は刃の裏側にかえりが出るまで研ぎます。かえりの確認方法は包丁の裏側の刃先に親指を当て、外側にゆっくりスライドさせてひっかかりがあるか確かめます。刃先で下に下してしまうと指紋のザラザラした感じと勘違いします。
このかえりを自分でしっかりと確認できるようにならないと、研ぎはいつまでたっても上達しません。
親指で包丁の裏面を水平に動かしてかえりのザラザラを感じて下さい。
この時に指を刃先の下に移動させないで水平に動かしてください。下記のように動かすとザラザラと感じますが、このやり方は間違いです。
〔Point〕荒砥石は水をよく吸うため表面が乾かないように水を頻繁にかけます。
研いでいるときに出る研ぎ汁は洗い流さないで下さい。包丁に砥汁がたまってくると軽く水をかけて調整してください。
研いでいるときにちゃんと面があたっているときの音と、刃先や鎬だけがあたっているときの音は違うので研ぐときの音で正確に研げているか意識してください。
中砥石で研ぐ
荒砥石を中砥石に変えます。
※この時も砥石面が平らでない場合は面直しを必ず行ってください。
研ぎ方は荒砥石で研ぐときと同じように10回、5回、10回を1セットでそれを繰り返すやり方でかえりが出るまで研ぎます。
切っ先から10回ほど研ぎます
中間は5回ほど研ぎます。中間部分は切っ先や刃元を研いでいるときに自然と当たっているため研ぐ回数を減らして調整します。
最後に刃元も10回ほど研ぎます。
部位ごとに分けて刃先を10回研いだら刃元も10回、同じ回数研ぐことで刃先だけ研ぎすぎるなどのムラを減らします。
切っ先を研ぐときはほんの少し右手の肘を上げて刃先を当てます。
※荒砥石の時の画像を参考にして切っ先を当ててください。
目安は荒砥石で研いだときに包丁にできた荒砥石の目を全て中砥石でできる目にします。(写真で確認)
〔Point〕中砥石も乾いてきたら研ぎ汁を流さないように水をかけます。
仕上げ砥石で研ぎます
中砥石を仕上げ砥石に変えます。この時も砥石面が平らでない場合は面直しを必ず行ってください。
研ぎ方は荒砥石で研ぐときと同じように10回、5回、10回を1セットでそれを繰り返すやり方でかえりが出るまで研ぎます。
切っ先から10回ほど研ぎます
中間は5回ほど研ぎます。中間部分は切っ先や刃元を研いでいるときに自然と当たっているため研ぐ回数を減らして調整します。
最後に刃元も10回ほど研ぎます。
部位ごとに分けて刃先を10回研いだら刃元も10回、同じ回数研ぐことで刃先だけ研ぎすぎるなどのムラを減らします。
切っ先を研ぐときはほんの少し右手の肘を上げて刃先を当てます。
※荒砥石の時の画像を参考にして切っ先を当ててください。
目安は中砥石で研いだときに包丁にできた中砥石の目を全て仕上げ砥石でできる目にします。(写真で確認)
裏押しをする
裏押しをする
裏押しをする時は必ず面直しが出来ている状態で行ってください。
包丁の表を研いだことによってできたかえりを裏押しで取ります。
面直しをした平らな仕上げ砥石に包丁の裏面をぴったりとあてる。
研ぐ回数は力を抜いて2~3回。
刃元は45度じゃあたらないので90度にもって行う。
〔Point〕裏押しは必ず面直しをした砥石を使う。
小刃をつける
小刃をつける
小刃は切れ味を持続させたい研ぎ方なので、切れ味のみを優先の方はこの工程は飛ばしてください。
普通の研ぎとは違い刃先だけを研ぐので包丁を少し立てて研ぎます。
力を抜いて、包丁の重みだけで2~3回研ぎます。
小刃付けで付いたかえりを包丁をうらむけて数回研いで取って下さい。
【小刃をつけるメリット】
小刃をつけると刃の切れ味を長く持続することができ刃こぼれしにくくなります。
新聞紙でかえりをとる
新聞紙でかえりをとります
刃先の細かいかえりを新聞紙でこすることでとれます。
新聞紙の文字が書いてある部分に包丁の刃先を当てて左右に軽くこすります。
これで刺身包丁の研ぎ方は終了です。刺身を引いて、切れ味の違いを確認してください!