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【完全版】包丁屋が教える出刃包丁の研ぎ方

包丁の研ぎ方、つまり包丁研ぎの技術は、料理をする上で欠かせないスキルの一つです。特に出刃包丁は、魚や肉を捌くための重要な道具であり、その切れ味を保つためには定期的な研ぎが必要です。今回は、包丁屋として長年の経験を持つ實光刃物が、出刃包丁の研ぎ方について初級編から上級編まで詳しく解説します。

初心者にもわかりやすい簡単な研ぎ方から、適切な砥石の選び方まで、この完全版ガイドでカバーしています。出刃包丁の研ぎ料金が気になる方も、ぜひ参考にしてみてください。あなたもプロのような切れ味を実現してみませんか?

出刃包丁は日本料理に欠かせない道具の一つであり、その特性と適切なメンテナンスが求められます。このセクションでは、出刃包丁の基本的な特徴と、それを適切に研ぐ必要性について詳しく説明します。

出刃包丁とは?

出刃包丁とは、日本の伝統的な片刃包丁の一種で、主に魚を捌くために使用されます。刃が厚くて丈夫で、魚の骨を切ったり、硬い物を切るのに適しています。片刃の構造により、切れ味が鋭く、精密な作業が可能です。

・厚い刃: 出刃包丁の刃は非常に厚く作られており、魚の骨や硬い部分を切る際も安心して使えます。これにより、力強く切ることができるため、大きな魚や骨付きの肉を捌くのに適しています。

・片刃の構造: 出刃包丁は片刃であるため、片側が鋭く研がれており、反対側は裏スキといわれるくぼみがある形状です。この形状により、包丁が食材に食い込みやすく、正確な切断が可能になります。これにより、細かな作業や精密な切断が必要な料理に最適です。

・用途: 主に魚を捌くために使用されることが多いですが、骨付きの肉や硬い野菜を切るのにも適しています。特に繊細な作業が求められる魚を捌く作業に不可欠な包丁です。

研ぎの必要性

包丁は使用するたびに刃が鈍くなります。特に出刃包丁は魚の骨を切るために頻繁に使用されるため、刃が傷みやすいです。適切に研ぐことで、以下のような利点があります。

・切れ味の維持: 鋭い刃を保つことで、切断作業がスムーズになり、食材を潰さずに切ることができます。これにより、食材の風味や見た目が損なわれることなく調理できます。

・調理効率の向上: 鋭い包丁は少ない力で切断が可能なため、調理の効率が向上します。これにより、料理のスピードが上がり、疲労も軽減されます。

・安全性の確保: 鈍った刃は滑りやすく、怪我のリスクが高まります。鋭い刃を保つことで、正確な切断ができ、安全に調理が行えます。

・包丁の寿命の延長: 定期的に適切なメンテナンスを行うことで、包丁自体の寿命が延びます。研ぎ直しを怠ると、刃が深く損傷し、最終的には修復不可能な状態になることもあります。

出刃包丁の特性と適切なメンテナンスの重要性を理解することで、料理の質を高め、包丁の寿命を延ばすことができます。これから、具体的な研ぎ方について詳しく説明していきます。

初級編:出刃包丁の基本的な研ぎ方

ここからは、出刃包丁の研ぎ方をご紹介します。出刃包丁は硬い食材を切る包丁のため、刃がつぶれてしまうことも多く、頻繁に研ぎをする必要がある包丁です。研ぎ方を知らない、初めて包丁を研ぐという方でも分かりやすく、写真や動画も交えてご説明します。

包丁研ぎに必要な砥石と包丁の持ち方

まず初めに、初心者向けの研ぎ方を紹介します。以下の2種類の砥石を使用します。

NO.1000(中砥石) NO.6000(仕上砥石)
スタンダード砥石1000番中砥石 スタンダード砥石6000番仕上げ砥石

砥石の準備

まず、中砥石(NO.1000)を使います。始めに砥石の面を平らにします(面直し)。砥石の表面を平らにせずに包丁を研ぐと、包丁が歪んでしまうため、専用の砥石で面を整えます。

修正砥石(荒砥石用) 修正砥石(中砥石・仕上げ砥石用)
修正砥石100番 修正砥石280番

【實光刃物の砥石一覧を見る】

包丁の持ち方

包丁の持ち方は以下の通りです。正しい持ち方で包丁を持つと、包丁が安定し、グラグラしないので、砥ぐ作業がしやすくなります。

中指、薬指、小指でハンドルを持つ
人差し指は包丁の背の部分に当てる
親指で包丁の刃の根元部分(アゴ)を押さえる

砥石の使い方

左手を置く場所(アゴ)

砥石は泡が出なくなるまで浸けてから使用します。包丁の角度は砥石に対して45度です。斜面になっている面をしっかりと砥石にくっつけると、少し包丁が持ち上がり、その角度が正しい角度です。

包丁を研ぐ手順

包丁の先から研ぎ始め、左手を包丁に置く場所が大切です。斜面の裏側に左手の指を置き、包丁の先に左手を置いて研ぎます。左手を置いている部分が刃が砥げる部分になりますので、指を数回に分けておき、場所を分けて研ぐ方法をお勧めします。

慣れてくると、左手をスライドして砥げるようになります。

刃先部分 左手の置く場所(刃先)
真ん中 左手の置く場所(真ん中)
アゴ部分 左手を置く場所(アゴ)

研ぎの回数

初めは切っ先の部分から研ぎ始めます。切っ先部分は砥石にあたりにくいので、左手の指を先端まで持って行き、少し包丁を前に傾け、先端が砥石にあたっていることを確認してから砥ぎ始めます。

包丁の切っ先の部分を20回研ぎ、真ん中の部分も20回、アゴ(ハンドル付近)の部分も20回研ぎます。どの部分も同じ回数研ぐことがポイントです。

【動画で研ぎ作業を確認する】

カエリ(バリ)の確認

研ぎ終わった後、カエリ(研いだ後のエッジ)が出ているか確認します。親指で包丁に平行に当ててゆっくりスライドすると、カエリが確認できます。カエリが全体に出ている場合、研ぎが完了です。

もし、カエリが出ていない場合は、まだ包丁が砥げていないということです。部分的にカエリが出ていない場合は、その部分だけ砥いでしまうと形が崩れるため、全体的に再度砥ぐようにしましょう。

カエリの確認方法

1000番の包丁で砥いだ時の包丁の見た目

1000番の包丁で砥いだ時の包丁の見た目

包丁研ぎの仕上げ

1000番の砥石で包丁の研ぎができた後は、仕上げ砥石を使って仕上げをします。仕上砥石で研ぐことで、切れ味が長持ちします。

仕上砥石(NO.6000)の使用

仕上げ砥石も1000番と同じように砥石を面直しで平らにしてから作業を行ないます。

始めに、裏おしと呼ばれる、包丁の裏側から砥石にあてます。1000番のときは切り刃にあわせて包丁を傾けて砥石にあてていましたが、裏側はピタっと砥石に裏側全面が当たるように平らに当てます。

砥ぐ回数は、先ほど出たカエリが取れる程度で十分です。砥いだ後にカエリが無ければ終了です。

仕上げ裏面の当て方

小刃付け

包丁を表に向けて、小刃付けをしていきます。先ほど1000番で砥いだ時に砥ぎきれなかった部分にキレイに刃を付け、更に切れ味の持続性が良くなるために行なう作業です。

小刃付けは1000番の時の研ぎのように、切り刃全てを砥石に付けるのではなく、刃先だけを砥石にあてるため、少し刃を起こして研ぎをします。

刃先からアゴ部分までスライドするような形で、包丁を砥ぎます。回数は10回程度です。その後カエリを確認し、出ていたら小刃付け完了です。

小刃付け(刃先)

裏押し

裏押しをする時は砥石がまっすぐでなければ、包丁の形が崩れてしまいます。裏押しの研ぎをする前にも忘れず修正砥石を当てて、砥石をまっすぐにしてください。砥石の用意ができたら、裏側はピタっと砥石に裏側全面が当たるように平らに当て、カエリが取れる程度、包丁研ぎをします。

包丁を触って、カエリが全て取り除けていれば、砥石での包丁研ぎ終了です。

包丁の切れ味の確認

最後に新聞を使って、包丁の刃がきちんと研げているか確認します。新聞を机の上に置いて包丁を軽く擦り、砥いでいる時に出た包丁の鉄くずをキレイに取り除きます。

その後、包丁を新聞紙の上に置き、刃を当てて、軽く引いた時に包丁が滑らず、止まるような感覚があれば刃がきちんとついているという確認になります。

新聞紙を使った切れ味の確認方法

出刃包丁の研ぎ方:初級編を動画で確認する

上級編:出刃包丁の高度な研ぎ方

上級編では、基本的な研ぎ方の説明は省略し、重要なポイントに焦点を当てます。特に以下の3つのポイントに注意してください。

・砥石の使い方

・包丁の構造を意識する

・ハマグリ刃の付け方

砥石の使い方

砥石を使うときは、真ん中だけでなく均等に減らせるように使うことが重要です。これにより、砥石の寿命が延び、包丁も均等に研ぐことができます。

包丁の構造を意識する

包丁の構造を意識して研ぐことです。出刃包丁には、鋼(はがね)と地金(じがね)の部分があり、それぞれの硬さが異なります。鋼の部分は硬くて減りにくく、地金の部分は柔らかくて減りやすいです。研ぐときにこの違いを意識すると、包丁の形を崩さずに研ぐことができます。

ハマグリ刃の付け方

ハマグリ刃とは、包丁を欠けにくくするために刃先を少し丸め、強度を高める刃付けの方法です。包丁の刃先がまっすぐではなく、少し丸みを帯びた形状のことです。この形状にすることで、包丁の切れ味が良くなり、欠けにくくなります。

包丁を砥ぐ手順

ここからは、包丁を実際に砥ぐ手順とポイントを解説します。

砥石の番手と研ぎ方

まず、包丁の形を整えます。切っ先が曲がっていたり、形状に歪みがある場合は、240番の粗砥石を使って形を修正します。包丁の形を整えるときは、曲がっている部分だけを砥ぐのではなく、全体を均等に削るように注意します。

荒砥石は削られるのが早いので、少し研いだらすぐに確認する方が良いでしょう。粗砥石は砥石自体が削れるのも早いので、定期的に面直しを行いながら研ぎます。

鋼の部分を意識して研ぐことで、形を崩さずに研ぐことができます。鋼部分を砥ぎたい時は、左手を切っ先側に寄せて、研ぎます。

包丁の形状を見る時は、目の高さに包丁を持ってきて、片眼で見ると見やすくなります。

ハマグリ刃の形成

ハマグリ刃を付けるには、まず粗砥石で大まかな形を作ります。その後、中砥石や仕上砥石を使って、ハマグリ刃の形を整えます。

鋼の部分と地金の部分の違いを意識しながら研ぐことで、きれいなハマグリ刃に仕上がります。刃先側やしのぎ側に左の指先を置くことで、砥ぐ部分を調整しながら砥ぐことができるようになります。

しのぎ部分は砥ぎやすいので、刃先側の方を少し多めに砥ぐとキレイに砥ぐことができます。

砥石の使い方の工夫

砥石の使い方にも工夫が必要です。研ぎにくい部分を研ぐときは、砥石の端を使うなどして効率よく研ぐようにします。具体的には包丁の切っ先部分を砥ぐときは手元部分を、アゴ部分を砥ぐときは反対側の部分を使うと、まんべんなく砥石全体を使用することができます。

砥石の手前側を利用する時 砥石の上側を利用する時
砥石の手前側を利用する時

ただし、慣れていないうちは少し使いにくいので、注意が必要です。初心者の方にはあまりおすすめできません。

砥石の順番

砥石は#240→#400→#1000→#3000→#6000→#10000

砥石の番手を徐々にあげていき、より荒い目で砥いだ目を砥いできれいにしていく感じで研ぎを進めていきます。

3000番以上になると包丁が砥げるのが少なくなっていくので、鋼部分だけを砥ぐような気持ちで研ぎを進めていってください。

砥石の種類は上記の番手を全てしなくても、荒砥石→中砥石→仕上げ砥石の3種類ぐらいでも構いません。より細かくすることで、美しい見た目になり、研ぎもしやすくなります。

【實光刃物の砥石一覧を見る】

最後の仕上げ

小刃付け

片刃小刃付け

コバ付けとは、刃の角度をつける作業のことです。これにより、包丁の刃が欠けにくくなり、切れ味が持続します。好みによって小刃付けをしない場合もあります。

使う砥石は#6000、#10000、#13000を使用します。刃先を砥いで小刃付けをしたら、裏押しを砥ぎます。裏押しを砥ぎすぎると裏スキが無くなってしまうので、砥ぎすぎないように気を付けてください。

包丁の研ぎ具合の確認

研ぎ終わった後は、新聞紙を使って切れ味を確認します。切れ味を見る前に包丁に刃をこすりつけて、包丁に残ったカエリを取り除きます。新聞紙に刃を当てて、滑らなければ刃が付いていることが確認できます。

コピー用紙が滑らかに切れるかどうかを確認して、切れ味のチェックも可能です。

出刃包丁研ぎ方:上級編を動画で見る

包丁の研ぎ方を参考にしても、包丁が切れるようにならない場合は、一度職人の研ぎ修理が必要かもしれません。實光刃物では、包丁の研ぎだけでなく、全体の歪みや形状を見て、包丁をベストの状態に戻す研ぎ修理を行っています。ご家庭で研ぎをされる方であっても、1.2年に1回はプロのメンテナンスを受けることをおすすめします。

【實光刃物の研ぎ修理サービスを見る】

實光刃物 四代目:實光俊行(じっこう としゆき)

實光刃物 四代目:實光俊行(じっこう としゆき)
「實光刃物(じっこうはもの)」は大阪の堺で明治33年に創業し、包丁(刃物)の製造と販売をしています。一期一会の精神で、お客様との瞬間を大切に。切れ味へのこだわりを胸に、日々技術の向上に励んでいます。技術の継承と共に、将来は世界中で愛される堺包丁のブランドを築き上げる夢を抱いています。
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