出刃包丁と刺身包丁(柳刃包丁)の違いについて深く掘り下げたいと思ったことはありませんか?また、「刺身包丁はいらない?」「出刃包丁はいつ使う?」と悩んでいませんか?
出刃包丁の使い方と刺身包丁の繊細な使い分けができるようになれば、魚料理がしやすくなり、より美味しい魚が食べられるようになります。
このブログでは、「出刃包丁と刺身包丁、どっちを選ぶべきか」という疑問に対して、それぞれの包丁の形状、使い方、そしてなぜそれぞれの包丁が最適なのかについて、詳細に解説します。さらに、實光刃物の出刃包丁と刺身包丁の選び方、おすすめの鋼材、そしてオリジナル形状についても探ります。
魚は身がやわらかく、切る時に身がつぶれてしまったり、身がよれてしまったりしやすい食材です。そのため、「魚を捌くのは苦手」と思っている方も多いでしょう。でも、その苦手意識は包丁を良いものに変えることで簡単に取り除けます。
切れ味が良い出刃包丁、刺身包丁を揃えることで魚をさばき、刺身を切ることがしやすくなり、美しい魚料理ができるようになります。
出刃包丁: 魚をおろす際の不可欠な道具
出刃包丁は魚の頭を落としたり、三枚おろしにするための包丁です。形状は「片刃」包丁で、硬い物を切るために分厚い刀身が特徴です。硬いものを切ることに適した包丁で、魚の骨を切ることができる唯一の包丁です。
刺身包丁: 切り身の美しさを極める
刺身包丁はその名の通り魚の切り身を刺身に切るための包丁です。植物の柳に形が似ていることから「柳刃(やなぎば)包丁」や菖蒲の刃に似ていることからショウブの名をもじった「正夫(しょうぶ)包丁」と呼ばれることがあります。
長い刀身が特徴で、その長さを使って1度の引ききりで一気に刺身を切り分けることができます。長い刀身を上手く使ってキレイに切られた刺身は、口当たりがスムーズで角がたった美しい刺身になります。
出刃包丁と刺身包丁の形状の秘密
日本独特の文化として、食材に合わせて包丁を使い分ける文化があります。それが、様々な形状の包丁がある「和包丁」です。ここからは、出刃包丁と刺身包丁の形状について詳しく解説します。
両者の形状の違いとその理由
刺身包丁と出刃包丁はその形状に大きな違いがあります。どちらも「片刃」の和包丁ですが、出刃包丁は刃に厚みがあり、重さのある包丁です。一方、刺身包丁は刀身が細く、他のどの包丁よりも刀身が長い包丁です。
それらの形状は、それぞれの作業に適した形になっており、出刃包丁は硬い骨を切るため、刺身包丁は長い刀身を活かして一回の引き切りで刺身を切るための形状です。
名称 | 出刃包丁 | 刺身包丁 |
写真 | ||
形状 | 刃は厚みがあり、重みがある包丁。 魚の骨に当たっても欠けたり折れたりしないように丈夫な形になっている。 |
繊細な刺身を切るために、一回の引き切りがえきるよう、刃渡りは長く、細い形状。 |
刃の形状 | 片刃 | 片刃 |
用途 | 骨が付いた魚を捌くときに使う包丁。
魚以外にも硬い食材を切る。 |
捌いた魚を刺身に切るときに使う包丁。 |
出刃包丁の厚みと重さがもたらすメリット
出刃包丁の構造は、魚を捌くために適したものになっています。その厚みと重さがもたらすメリットをご紹介します。
硬い物が切れる: 出刃包丁の厚みと重さは、硬いものを切る時に使いやすい形状と言えます。特に大きな魚や硬い骨を持つ魚をさばく時、この力強さが非常に役立ちます。
安定した操作性: 重さにより、包丁が自然と食材に圧をかけるため、安定した操作が可能になります。これは、精密な切り込みを必要とする作業において、より正確にきれることを意味します。
滑らかな切断面:片刃の形状を活かし、背骨に沿って包丁を動かすことができ、繊細な魚の身をスムーズに切ることが可能になります。片刃は片方にしか 片方にしか刃が付いていないため、1方向に動かすことが容易で、裏スキ(裏の凹み)があることから身が張り付かず、繊維をつぶしにくい構造になっています。
刺身包丁の細長い形状が生み出す切れ味
家庭で刺身を切る時、三徳包丁や牛刀を使いがちですが、刺身包丁を使うと味が変わるほど美味しくなると言われることがあります。それは、刺身包丁の形状に秘密があります。刺身包丁の細長い形状が生み出す切れ味のメリットは以下の通りです。
滑らかな切断面:一度の引き切りで滑らかに切り分けることができるため、切断面が非常に滑らかで、美しい仕上がりになります。角の立った刺身包丁を切るには切断面がスムーズである必要があります。
食材の風味と食感の保持:食材の細胞を押しつぶすことなく、食材の繊維を傷つけず、風味や食感を保持します。口に入れたときの舌触りが良くなります。
一貫性と均一性のある切り身:長い刀身により、大きな魚も一挙に切り分けることが可能で、一貫性と均一性のある切り身を作り出します。
正しい包丁の使い方と選び方: 出刃包丁と刺身包丁
「出刃包丁があれば刺身包丁は必要ないんじゃない?」「三徳包丁でも魚をさばける・・・」と思っている人も多いのではないでしょうか?実際、出刃包丁でなければ魚が捌けない訳ではないし、刺身包丁でなければ刺身を切れない訳ではありません。ただ、出刃包丁で刺身を捌いた方が捌きやすく、キレイに捌けます。また、刺身包丁を使った方が美しくおいしい刺身が切れるようになります。
片刃包丁の形状の秘密と繊細な切り刃
片方にしか刃が付いていない片刃包丁の形状は、切り刃が非常に薄く鋭くなっていることから精密な切り込みを行うことが可能です。この非常に薄く研ぎ澄まされた刃は、食材を滑らかに切り分け、切断面の美しさを保つことで、料理の見た目を大きく向上させます。
また、片刃の設計は切る際のブレを最小限に抑え、正確な切り込みを可能にし、均一な厚さの切り身や細工切りが容易になります。繊細な切り刃は食材の細胞構造を保ちながら切ることができるため、食材の風味や食感を損なうことがありません。これらの特徴により、片刃包丁は日本料理、特に生魚や野菜の繊細な扱いにおいて重宝され、料理の品質を大きく左右する重要な道具となっています。
各包丁の特化した用途と効果
出刃か刺身包丁のどちらかを購入しようと考えている場合は、その用途を考えると良いでしょう。丸々1匹を捌くことが多く、内臓を処理したり、三枚おろしやぶつ切りにしたりすることが多い場合は「出刃包丁」が必要です。また、柵の状態で買うことが多い人は出刃包丁はあまり必要ないので、「刺身包丁」を購入すると、キレイなおいしい刺身が切れるようになります。
しかし、魚料理をするにはどちらも欠かせない包丁のため、出来ればどちらも揃えたいものです。「これから魚料理を始めたい!」「料理の幅を広げたい」という方は2本セットで購入することも検討しましょう。
出刃包丁の種類と選び方
出刃は小さなものは刃渡り105mm(アジキリと言われる場合有)、120mmサイズの包丁から、大きな魚を捌くために300mmまであります。出刃のサイズを選ぶときはイラストのように魚の縦幅に合う包丁を選ぶと、料理がしやすく魚がキレイに捌けます。
出刃包丁は他の包丁に比べて重くなるので、重い包丁を使い慣れていない方はあまり大きいものは使いにくくなります。家庭用で良く選ばれる出刃包丁サイズは150mm(5寸)〜180mm(6寸)です。
刺身包丁の種類と選び方
刺身包丁は形状や使われている地域によって呼び名があるため、分かりやすいように表で説明します。家庭用として刺身包丁を使うのであれば、「柳刃」「刺身切付」「刺身先丸」から選ぶと良いでしょう。使い方はどれも同じで、デザインで選んでも問題ありません。家庭用として一般的なサイズは240mmです。
柳刃包丁 | 刺身切付包丁 | 刺身先丸包丁 |
通常の刺身包丁。植物の柳の葉に似た形状のため柳刃包丁と言われる。 | 切っ先がとがった形をしており、食材に入り込みやすく切り離しが良い。 シャープなイメージの包丁 |
切っ先が丸く日本刀と同じ形状をしている包丁 |
タコ引包丁 | フグ引包丁 |
関東地方で使われている刺身包丁。通常の刺身包丁より厚みが薄く、刃幅が細い形状。 | 非常にデリケートなてっさを引くための包丁。刃が非常に薄いのが特徴 |
實光の出刃包丁と刺身包丁: 職人技の結晶
片刃包丁の本場、大阪堺で100年以上包丁を製造している實光刃物では、家庭用からプロ用まで様々な包丁を製造しています。繊細な魚を料理する時は、切れ味の良い包丁が欠かせません。プロから愛される實光刃物であなたにぴったりの包丁をお探しください。
實光の出刃包丁:おすすめの鋼材とオリジナル形状「切付出刃」
おすすめ鋼材:白紙二号出刃包丁
白紙二号はプロにも愛される鋼材で、切れ味がよく砥ぎやすいので使いやすい鋼材と言えます。包丁のアゴ、背の部分まで、細部にわたり仕上げされており、料理する人のことを考えて作られた包丁と言えます。
オリジナル形状「切付出刃」:至光出刃
通常の出刃包丁の刃先を切付加工することで、スマートな見た目を可能にしました。また、切っ先が使いやすく、包丁の身入りがよく、繊維を壊しにくい形状と言えます。
實光の刺身包丁:おすすめの鋼材とオリジナル形状「ソリ刺身包丁」
おすすめ鋼材:青紙二号刺身包丁
青紙二号は硬度が高いため、刃持ちが良く切れ味が長く続きます。刺身包丁は包丁が長く、研ぎも大変になりがちなため、切れ味が長持ちする包丁が重宝されます。
オリジナル形状「ソリ刺身包丁」:刀心先丸刺身包丁
長い刀身を大きく反らせて、今までにない包丁を作り出しました。反りを活かして包丁を動かしやすく、更に料理人の立ち姿をかっこよくさせる包丁です。
實光刃物の刺身包丁+出刃包丁セット:さばけるセット
出刃包丁と刺身包丁は一緒に揃えておきたい魚用の包丁です。實光刃物の「さばけるセット」は出刃包丁、刺身包丁以外にも、うろこ取り、骨抜き、サビ取り消しゴムをセットにしています。
出刃包丁と刺身包丁についてのQ&A
ここからは、魚をさばくのに必要な出刃包丁と刺身包丁についての質問にお答えします。
Q:出刃包丁で切るものは何ですか?
A:出刃包丁とは、一匹丸々の魚を切る時に使う包丁です。包丁の厚みがあり、丈夫な包丁の為、魚の骨を切ることができる包丁です。出刃包丁にも様々な種類があり、身卸包丁やアジ切なども出刃包丁の一種です。魚以外にもかぼちゃなどの硬いものを切る時にも使用できます。
Q:出刃包丁はどんな料理に使います?
A:出刃包丁は魚を三枚おろしにしたり、頭を切り落としたりするのに使う包丁です。そのため、魚料理をするときに欠かせない包丁ということができます。
Q:出刃包丁を研ぐタイミングは?
A:出刃包丁は、できれば魚を捌く前に毎回研ぐことがベストです。しかし、毎回研ぐのが大変な場合は、切れ味が悪いと感じた時に包丁研ぎをすると良いでしょう。出刃包丁は魚の骨等硬いものを切る時に使う包丁のため、刃がダメージを受けやすい包丁です。魚を捌く時は切れ味がよい包丁で切らないと身がつぶれてしまうので、切れ味を保つためきちんと研ぐことが大事です。包丁の刃の人部分だけでも切れ味が悪いと感じる部分があるなら、包丁研ぎをするようにしましょう。
Q:出刃包丁 なぜ 魚?
A:出刃包丁は魚の骨など硬いものを切るため、刃が厚く、他の包丁よりも丈夫な形状になっています。魚を切る時は、骨を断ち切ったり、頭を落としたりする必要があるので、他の刃が薄い包丁では欠けてしまう恐れがあります。
出刃包丁と刺身包丁の使い分けを正しく知ることで魚料理が上達
出刃包丁と刺身包丁、これら二つの専門道具を適切に使い分けることが、魚料理の技術を飛躍的に向上させる鍵です。特に、繊細な魚料理をする時は、いつも使っている三徳包丁や牛刀ではなく、出刃包丁と刺身包丁を正しく使いましょう。
そうすることにより、より美味しく美しい魚料理ができるようになります。包丁を替えるだけで料理の腕がワンランクアップするとも言えます。適正な道具を使いこなすことで、あなたもプロの料理人のように、家族や友人を驚かせる魚料理ができるようになります。
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この記事で紹介した包丁
白紙二号出刃包丁 | オリジナル形状「切付出刃」:至光出刃 |
青紙二号刺身包丁 | 刀心先丸刺身包丁 | さばけるセット |